VGC2018 Report No.2 第13回南白オフ優勝 「Kangaskhan+Groundium Z Heatran」
全3部構成の第2部となります。よろしければ,第1部もご覧下さい。
全体の目次と第2部の内容は以下の通りとなります。
No.1
- 再び構築にメガガルーラを採用したきっかけ
- 上記の構築を7世代の環境で使用する上での問題点(ガルーラ,ゲンガー,クレセリア)
- 2を踏まえて(S2ダブルレート最終レート2000構築)
No.2
- カプ・テテフとテッカグヤの可能性と最強のヒードランの誕生(第13回南白オフ優勝)
- 狭く深くより広く浅く(取り巻きの試行錯誤)
No.3
- 逆転の発想(S6終了,VGC2018ルールの発表,USM新要素)
- 行動力から得られたもの(Best of 3 Cup Winter,鹿児島忘年会)
- 見落としていた重要な事項(2018 International Challenge January 使用構築)
4.カプ・テテフとテッカグヤの可能性と最強のヒードランの誕生
「7世代のダブルレートは魔境である。」
誰かがそのようなことをtwitterで呟いていたが,正しくその通りであることを6世代の経験を踏まえて3つ記述する(ただの個人的な愚痴なので,読み飛ばしても構いません)。
- 1つ目は,ゲンガーvsメガガルーラ対面でノータイムで不意打ちを打ってくることである。6世代では滅多に見られなかった腹立たしい光景である。その要因の一つとしてカプ・レヒレの特性のミストフィールドが挙げられるが,何が腹立たしいかというと,カプ・レヒレは毒タイプに抜群を取られるので,相手はガルーラ+カプ・レヒレの先発や1ターン目にガルーラの隣をカプ・レヒレに引く選択肢をほとんど取ってこないので,ミストフィールドを展開せずに相手はゲンガーに不意打ちを打ってくるのである。そのような光景を飽きる程見たこと,S3からメガクチートが参戦することから,凍える風の代わりに再び鬼火を搭載し,リザードン+霊獣ランドロスへの立ち回りは別の形で対処しようと考えた。
- 2つ目は,6世代の頃の先発ニョロトノ+ルンパッパに対して,先発ガルーラ+ゲンガーからの1ターン目ガルーラをトリトドンに引いてゲンガーはルンパンパにヘドロ爆弾の立ち回りを初見で選択していた。しかし,7世代からはZ技の影響でルンパッパに守るの選択肢が増えたこと,ペリッパーが新たに雨降らしの特性を獲得したことで,ゲンガーに暴風が通った場合にルンパッパの草技ですら縛られかねないこと,トリトドンにリンドの実を持たせられなかったことで,終盤にルンパッパが残った場合に苦しい立ち回りを強いられることが雨に対しての勝率が徐々に落ちていった要因だと考える。また,6世代の頃には滅多に見られなかった初見で上記の行動に対してガルーラ方向に草技を打ってくるプレイヤーが現れた。ちなみに,自分はこのような「人読み行動」が嫌いなので,記事に立ち回りをあえて記述していない。それなのに,こういうことが起きるということは,自分の中で4の冒頭の一文の説得力が増した結果となった。最後に,6世代の頃からトリトドンを使用していた身として,個人的な意見ではあるが,7世代のトリトドンは「雨構築」に対して,一時的なその場凌ぎになるだけである。たまに,トリトドンを入れた構築の記事の個別解説で雨構築の対策と記述している人がいるが,それは間違っていると思う(「トリトドン+何か」で対策を取っているなら理解できるが,トリトドン1体だけでは絶対に無理である)。「水技」に対しての対策に考えを改めた方が良いと思う。
- 3つ目は,もう使用するつもりはないので記述するが,第一部の構築でバンギラス+ドリュウズ構築のその先発に対してガルーラ+フェローチェを先発で繰り出していた。その構築にカプ・テテフが入っていない限り(実際マッチングしたが,その構築はギルガルドとテッカグヤをどうしていたのか?),初見で相手は1ターン目の「猫騙し+格闘技」を当然警戒してくれる「はず(人間)」だと考え(フェローチェの気合いの襷はこの構築にゲンガーが入っているため,その願望は怪しいと判断),1ターン目は「フェローチェにグロウパンチ+守っているドリュウズにカクトウZ」を選択し,たとえ,バンギラス→ボーマンダが来ようとも,守る補正のA-1飛び膝蹴りZとA+1不意打ちで確定でドリュウズを倒せるため,2ターン目は「ドリュウズに不意打ち+ボーマンダに冷凍ビーム」を選択して,S2ではこれらが決まった試合は全勝していた。まぁ,こちら側も相手が「人間」だと決めつけていたのが悪かったんですけどね。
以上の3つから改めて理解したことは,「相手はゲンガーの鬼火を全く警戒してこない」,「トリトドンの他に雨構築に分のあるポケモンをもう1体欲しい」,「相手依存を中心とした立ち回り方は止める(極論を言えば,出来るだけ思考停止で勝てる構築)」の3点だった。
これらのことから,まず最初に思いついたのは,食べ残し持ちの宿り木の種とワイドガード搭載のHDテッカグヤだった。環境上位のガルーラや霊獣ランドロス,クレセリア,ボーマンダ,カプ・テテフ,テラキオンに強く,宿り木の種さえ入れてしまえば,カプ・レヒレやヒードラン,メタグロス,ギルガルドにも分の良い勝負ができることを高く評価して採用に至った。また,ゲンガーに凍える風を搭載することを止めたことやフェローチェがあまりにも不安定だった(JCS2017予選の反省)ため,構築から外したことから,ガルーラより素早さが速いポケモンの並び(ボーマンダ+カプ・コケコやリザードン+霊獣ランドロス等)に圧力をかけられることや相手のガルーラを迅速に機能停止させること,そして,出来れば雨構築に対して分の良い勝負ができることを満たしたポケモンを探していたところ,拘りスカーフ持ちカプ・テテフに辿り着いた(理由は後述)。
そして,2017年の7月のあいオフのふぇいとさんとKOOTAさんの対戦の中で,KOOTAさんのストーンエッジ搭載のヒードランでふぇいとさんのウルガモスを倒したことを知って,「ヒードランに岩技を搭載すれば,テッカグヤが苦手なリザードンやウルガモスを迅速に処理することが可能だな・・・。命中率や威力の低さが気になるから興味本位でイワZを持たせてみるか,身代わりやシュカの実を無視してくるアローラガラガラも面倒だし(コイツ,またアローラガラガラに悩まされているな)。」と考え,考察を開始した。しかし,身代わりを搭載していないかつシュカの実も持たせていないヒードランが相手のヒードランが重いこと,そもそもアローラガラガラに余裕で耐えられること,「ガルーラの猫騙し+ヒードランの身代わり」の動きの強さを改めて思い出したことから,結局,以前の技構成に落ち着いたが,上記の2項目が未解決のままであったため,「こちらのヒードランより素早さが遅い任意のヒードランに勝ちたい」,「アローラガラガラを一撃で吹き飛ばしたい」という思いによって,ジメンZヒードランが誕生した。結果として間接的ではあったが,この発想の種を蒔いてくださった2人には大変感謝をしたい。
以上の改良点を基に,第13回南白オフで優勝した構築は以下の通りです(前回と同じポケモンの変更点は青色で記載,前回と重複する内容は省略)。
ゲンガー@気合の襷 性格:臆病 特性:呪われボディ
努力値:0-x-4-252-0-252 実数値:135-x-81-182-95-178
折角鬼火を搭載したのにもかかわらず,南白オフで4回中2回外して虚無でした。このポケモンは調子の波が激しいのが使用する側にとっては悩みの種ですね。
ガルーラ@ガルーラナイト 性格:意地っ張り 特性:肝っ玉→親子愛
努力値:4-252-0-x-0-252 実数値:181-161-100-x-100-142→181-194-120-x-120-152
テッカグヤが苦手なポケモン(リザードンやカプ・コケコ,ウルガモス等)を猫騙し+捨て身タックル or 不意打ちで全力で倒すことを念頭に置きながら対戦していました。南白オフでは,カプ・コケコが少なかったことや遅いリザードンが多かったことが功を奏しました。
トリトドン@ウイの実 性格:控え目 特性:呼び水
努力値:252-x-156-60-36-4 実数値:218-x-108-132-107-60
技:大地の力 冷凍ビーム 自己再生(クリアスモッグ) 守る
前回の配分では,大地の力で耐久無振りのカプ・コケコですら耐えられる可能性があったため,HP146D95以下の個体を確定で倒せるように配分を変更しました。この影響で耐久が多少下がったため,木の実をウイの実に変更しました。南白オフでは,場持ちを意識して自己再生を使用していましたが,瞑想カプ・レヒレやクレセリア,腹太鼓カビゴン等に刺すクリアスモッグでも良いと思います。
ヒードラン@ジメンZ 性格:控え目 特性:貰い火
努力値:204-x-0-236-0-68 実数値:192-x-126-198-126-106
技:熱風 大地の力 身代わり 守る
ジメンZは相手のヒードランの任意の行動に対応できるだけではなく,今まで抜群でありながら大地の力を耐えてきたメガゲンガーやテラキオン,メガクチート,メガメタグロス,ギルガルド(H252D170だと中乱数ではありますが,Z技の影響により少し耐久を削って素早さを上げている個体が常識化されているため,高確率で倒すことができます。耐えられたらキレます。)等を一撃で倒せるため,汎用性の高いZ技であると考えています。南白オフでも,身代わりで攻撃を耐えてテラキオンを倒したり,決勝でドサイドンを倒したりしたので,大会のMVPでした。
カプ・テテフ@拘りスカーフ 性格:控え目 特性:サイコメーカー
努力値:0-x-4-252-0-252 実数値:145-x-96-200-135-147
技:サイコキネシス ムーンフォース サイコショック 気合い玉
ボーマンダやカプ・コケコ,ゲンガー等の高速アタッカーに強いのは言うまでもないですが,サイコショックという技のお蔭でリザードンやウルガモス等の物理耐久に薄いポケモンやルンパッパ等の突撃チョッキを持たせられている可能性があるポケモンに強く出られます。ガルーラとカプ・テテフの組み合わせは良くないのではと思われますが,ガルーラ+カプ・テテフをサイコフィールド上で並べたとき,メタグロスやギルガルド,砂嵐状態のドリュウズ(そもそもそれらが入っている構築にこの先発は繰り出しませんが・・・)以外で猫騙しや不意打ちを打ちたいポケモンが浮いていることが多かったため,逆に相手の先制技に妨害されることなく,1ターン目から高火力を押し付けることができたのは非常に良かったと思います。
また,気合い玉についてはメガガルーラのグロウパンチでは落とせないメガガルーラやヒードラン,バンギラス,ナットレイ等に打ちます。この構築はカミツルギが辛いですが,VGC2017ルールより遥かに敵が増えたので,全国ダブルのルールで耐久調整している個体は少ないと感じたこと,それだけのためにめざめるパワー炎を採用したくなかったこと,最悪70%で当たることから汎用性を取りました。
南白オフでは,予選でムーンフォースのCダウンやサイコキネシスのDダウンを1発で引いてその後の択を消す活躍をしました。自分も鬼火を外して2戦落としたので許してください。
テッカグヤ@食べ残し 性格:慎重 特性:ビーストブースト
努力値:252-0-0-x-252-4 実数値:204-121-123-x-168-82
技:ヘビーボンバー 宿り木の種 ワイドガード 守る
当時,このルールで最強だと考えていたポケモン。ヒードランの熱風くらいは余裕で耐えて宿り木の種さえ当てることができれば,後はワイドガードを連打しているだけでタイプ相性を簡単に逆転できる理不尽なポケモンです。仮に,相手のヒードランが身代わりを搭載していた場合,それはトリトドンに対して無力である(クサZの可能性が消滅するため)ことの主張であるため,そこまで困りませんでした。南白オフでは,カプ・レヒレやクレセリアを餌にしていました。
基本選出1
先発
ガルーラ ゲンガー
後発
相手の構築に応じて2体
第1部でも記述しましたが,ガルーラ+ゲンガーの汎用性は非常に高いので,後発のテッカグヤやトリドドン,ヒードランで詰めやすい状況を作ったり,カプ・テテフで一掃しやすい状況を作ったりできます。
基本選出2
先発
ガルーラ カプ・テテフ
後発
ゲンガー以外から2体
ボーマンダ構築やリザードン構築(やや怪しい・・・)に対しての選出。頑張ってテッカグヤの障害を序盤で倒して,テッカグヤで詰めていくことが理想です。
5.狭く深くより広く浅く
南白オフで優勝することができたが,3点ほど疑問が残ったので記述する。
- 1つ目は,相手の先発のリザードン+拘りスカーフ持ち霊獣ランドロスの解答が怪しいままということである。こちらがガルーラ+カプ・テテフの先発を繰り出した場合でも,霊獣ランドロスに対しては,確定では倒せない,突撃チョッキの可能性やジメンZ持ちの守るでやり過ごされる,最速拘りスカーフ持ちの可能性(後述よりカプ・テテフの性格は控えめにしなければならない)の3点,リザードンに対しては,サイコフィールド補正サイコショックでH161B85ウルガモスに最低160ダメージ(実際に,南白オフで最低乱数を引いた)という威力から,最速でも余裕を持って耐えられるので,メガガルーラの猫騙しを重ねなければならないことより,守るの択が付き纏う(選出の見せ合い段階で,自分の構築がテッカグヤでの詰めを狙っている構築だと瞬時に判断されたら尚更である)点により,こちらが不利であることは明確である。
- 2つ目は,カプ・コケコが重いということである。先程述べたリザードン,霊獣ランドロスと同じ構築に入っている可能性が高いポケモンで,いざ,その構築とマッチングしたら,こちらは毎ターン奴隷側のEカードをプレイしているようである。7世代の全国ダブルはプールが広大なため,すべてのポケモンを1つの構築で対応するのは無理であるため,多少は考慮しなくてもよいポケモンがいても仕方がないとは思われる。しかし,カプ・コケコはKP上位であることから,その考えにカプ・コケコを組み込むことはあまりにも危険であり,絶対に後悔すると思ったので,構築の見直しを早急に行うと決心した。
- 3つ目は, 相手依存を中心とした立ち回りの思考がまだ抜け切れていないことである。実際に南白オフでの対戦で,相手のカミツルギに対して火炎放射を搭載していないテッカグヤをノータイムで後投げして交代を誘うブラフを行い,それが見事にハマって勝利したことがあった。しかし,「これがすべての対戦において通用することなのだろうか?」,後のレートでまだ技を見せていないテッカグヤを前にしてカミツルギに剣の舞を選択するプレイヤーがやっぱり現れた。このことに関しても解決する必要があると感じた。
以上の3点から,リザードン+霊獣ランドロスの並びとカプ・コケコに強く,トリックルームも覚えるウツロイドが候補に挙がった。この他にもウツロイドは,他のカプ系やサンダー,ボーマンダ(地震持ち以外)に強く,数値の高さからゲンガーとは違い,特殊ポケモンに対しての行動回数が多い点も優秀だった。S種族値や技範囲の関係上メタグロスが重くなってしまったが,そもそもゲンガーとメガメタグロスは同速で,どちらもお互いを倒すのに2回動かす必要があるため不安定であること,当時メタグロスを甘く考えていたため,テッカグヤがいれば勝てるだろうと考えていたことの2点から変更に踏み切った(前述よりカミツルギは切りました)。
新たに気合いの襷持ちのウツロイド(パワージェム,ヘドロ爆弾,めざめるパワー氷,トリックルーム)を入れた構築で意気揚々とS6に参戦してみたが,やっぱり,現実はそんなに甘くはなかった。
第2部はここまでとなります。よろしければ,第3部もご覧下さい。
最後に,記事を見て分からないことや疑問に思ったことがあれば,自分のTwitter(@keima1212ab)に気軽にリプを下さい。
ここまで見て下さってありがとうございました。