VGC2018 Report No.5 インターネット大会 2018 International Challenge June 12位 「Salamence+Bisharp」
インターネット大会の2018 International Challenge Juneで使用した構築を紹介します。
構築経緯
- 2018 International Challenge January(以下,1月INC)でPJCS2018への出場権を早い段階で獲得し,その時から約4ヶ月後のPJCS2018でもガルーラ構築を使用することを決めていた。しかし,今後のレートや対戦会等でガルーラ構築を使用してしまうと,1月INCで使用した構築でバラしたくないこと(特にジメンZ持ちヒードラン,瞑想搭載クレセリア,拘りメガネ持ちカプ・レヒレ)が多かったので,自分の知識量を増やす意味でも別のメガシンカの構築に手を付けることにした。
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まず,自分が目を付けたのはバシャーモ+キリキザン構築であった。1月INCの結果発表後に,同じ鹿児島勢であるさきえさんがバシャーモ+キリキザン構築に興味があるということで,自分がその構築作成の手助けをしたことがきっかけであった。
バシャーモ+キリキザン構築を使用するとき,針の糸を通すようで精神的に悪いと考え,最初は敬遠していた。しかし,1月INCで上位の構築にメタグロスやリザードンが多かった(その時,ボーマンダも多かったことは知りませんでした・・・)ので,それらの構築や威嚇ガオガエン未解禁の環境でも一定数存在したゲンガー構築に,上記のことを加味してもバシャーモ+キリキザン構築は有利に立ち回れる。
そして,前のめりな構築を使うことで,課題である肝心な場面での択の弱さを少しは克服できると考えた。1月INCで既に予選を抜けていたからこそ,その行動に移すことができたと考えている。 - バシャーモ+キリキザン構築の取り巻きについて,まず,両者が苦手なカプ・レヒレやジャラランガ,ボーマンダに対して強いカプ・コケコとクレセリアを絡めたトリックルーム構築に,切り返すことができるミミッキュとカビゴンはすぐに決まった。ここまでで地面技の通りの良さとカプ・コケコ以外でカプ・レヒレに圧力をかけられるポケモンがもう1体欲しかったので,これらを同時に満たせるカプ・ブルルを採用した。グラスフィールドのお蔭で霊獣ランドロスの地震に臆することなく,バシャーモを動かすことができるのは強いと思った。
- この構築で数十戦してみた感想として,裏選出のミミッキュのトリックルームが成功し辛い印象を受けた。その原因として主に2つ挙げられる。
1つ目は,この構築に猫騙しを搭載しているポケモンがいないことである。ミミッキュは特性が肝っ玉であるポケモンを除いて,猫騙しが無効であることや特性の化けの皮による行動保証の高さで,トリックルームが簡単に成功しやすいように思えるが,挑発(ミミッキュの単体性能を高くするために,この構築でメンタルハーブを持たせるのは違うと考えている)や岩雪崩,アイアンヘッド等による怯みには無防備であるので,ダブルバトルにおいて猫騙しの存在が非常に大きいと改めて感じた。
2つ目は,ミミッキュ+カビゴンの並びを綺麗に作ることが少なかったことである。このことから,トリックルーム中に無理矢理カビゴンに引いて腹太鼓をしてトリックルームのターンを有効に使えなかったり,ミミッキュのトリックルームを腹太鼓したカビゴンが待ち望んでいたり等,自分には上手に扱えない並びであると感じた。 - 4に加えて,雨構築に対しての不安もあった。苦し紛れではあるが,S167のメガバシャーモがS+1で特性のすいすいが発動したS122のルンパッパを抜き去ることができる(個人的に雷パンチを搭載していないメガバシャーモは,カプ・コケコへのフレアドライブの乱数は確かに気になるが,最速カプ・テテフを1ターンで倒したり,リザードンと同速勝負ができたりする最速の方が良いと考えている。まぁ,逆に最速ではなかったら最速メガガルーラの捨て身タックルで吹き飛ぶのでそれはそれで良いのですけどね)ので,縛り返すことができると最初は考えていた。
しかし,守る補正のZ技のダメージ量の多いことやルンパッパを縛り返したとしてもペリッパーに倒されてしまうこと,そして何より取り巻きのボーマンダがどうしようもないことの3点からバシャーモを諦めることにした(ちなみに,さきえさんはカビゴンを変えてトリトドンを採用していたようです)。 - 以上から,新たなメガシンカに求められる条件として,「雨構築に一方的に不利を取らない」,「バシャーモが抜けたことによる炎打点,もしくは別の方法で炎弱点のポケモンを対処する」,「ミミッキュのトリックルームと上手くマッチする」の3点を意識し,色々な構築記事を拝見して探してみたところ,ボーマンダが候補に挙がった。
雨構築に対して,パメラさんの配分を拝借してC156のルンパッパの冷凍ビームを確定で耐えて全抜きまたは数的有利を取り,ミミッキュが暴れられやすい場を作ることができるのはとても強いと考えた。また,新たに解禁した威嚇ガオガエンに対しても,竜の舞と羽休めで起点にすることができる。
しかし,炎打点が無くなってしまったので,メタグロス構築の対処が新たな問題として挙がった(カミツルギはボーマンダでゴリ押せる)が,その問題はさしすさんの黒い眼鏡持ちのペルシアンで簡単に解決することができ,さらに,自然と猫騙しを覚えるポケモンが入ってきたので,地面無効でかつメガシンカ前の特性が威嚇のボーマンダでランドロスまでも起点にできることからカプ・ブルルを外した。 - 最後に,相手のトリックルーム対策かつ自分のトリックルームに依存しない爆発的な火力を得られるポケモン(カプ・レヒレの仕事量をできるだけ減らすためにも,ミミッキュの素早さを最遅にせずに済んだのはとても大きかった)としてマリルリ(このことで,バシャーモとカプ・ブルルを外した影響で重くなったカプ・コケコやゲンガーへの対抗策が新たに生まれたので良かった)をカビゴンの代わりに採用して以上の6体が決まった。
以下,使用した構築とその解説です。
努力値:116-0-0-x-140-252 実数値:155-80-80-x-103-183
さしすさんの配分を拝借しました。ありがとうございました。
C200のカプ・テテフのダブルダメージ補正のマジカルシャインを15/16で耐えて,黒い眼鏡補正のイカサマでH156B170のメガメタグロスを14/16で1発という調整に感動したことを今でも覚えています。環境の中盤以降から耐久振りのメタグロスが爆発的に増加してしまいましたが,この構築は先制技を覚えるポケモンが3体もいるため,あまり気になりませんでした(カプ・テテフ+耐久振りのメタグロスは止めて下さいw)。
さしすさんは先送りを搭載していましたが,主に自分の使い方が下手だったことと,この構築で厄介なサンダーの追い風やラッキー系統に勝てる可能性を上げることから挑発を搭載しました。こちらの技も大変感触が良かったです。
マリルリ 性格:意地っ張り
努力値:228-252-4-x-20-4 実数値:204-112-101-x-103-71
ボーマンダやカプ・コケコ,ミミッキュの積み展開が通し辛いときに活躍する,この構築の最終兵器。余程メタを張らない限り,この積みポケモン4体全てに対応することは結構難しいと考えています。
積極的に腹太鼓+アクアジェットを選択するのではなく,じゃれつく+アクアジェットでも低耐久のポケモンを縛れるので,常に状況を整理する力が問われるポケモンでした。晴れ補正でもA+5(腹太鼓後に威嚇を入れられることを想定)のアクアジェットでメガリザードンYを倒せるのは意味が分からないですね。
ボーマンダ 性格:陽気
努力値:68-0-0-x-252-188 実数値:179-155-100-x-132-158→179-165-150-x-142-180
パメラさんの配分を参考にしました。ありがとうございました。
バシャーモとは違い,「物理ポケモンでありながら,特性が威嚇の使用率が高いポケモンと殴り合える」ことがとても強いです。特殊耐久にかなり振ってはいるのでカプ・コケコのダブルダメージ補正のマジカルシャインくらいは起点にできそうだと思いますが,意外とダメージが入るので注意しましょう(一致抜群技なのに何言っているんだ?)。
キリキザン 性格:意地っ張り
努力値:4-252-0-x-0-252 実数値:141-194-120-x-90-122
この構築で厄介なゲンガーやメタグロス,バンギラス,クレセリア等に刺さる非常に重要な存在なので,この構築名は「ボーマンダ+カプ・コケコ」ではなく,「ボーマンダ+キリキザン」となっています(元の構築が「バシャーモ+キリキザン」なのも理由の1つ)。
ボーマンダの個別解説で「威嚇に屈さずに戦える」と記述しましたが,キリキザンを同居させることで,ボーマンダをより絶対的な存在にさせることができます。また,叩き落とすが大変優秀で,ピンチベリーや突撃チョッキ等を事前に叩き落としておくことで詰めのプランが崩れることなく上手く展開することができます。
ミミッキュ 性格:意地っ張り
努力値:228-252-12-x-4-12 実数値:159-156-102-x-126-118
特性のお蔭で多くの場面で行動が保証されているシングルバトルではお馴染みのポケモン。この構築で重めな雨構築やゲンガー+ガオガエン構築に対する切り返しやカプ系統の迅速な処理が主な役割です。
上記より,素早さを118(準速ペリッパー抜き)に設定。これより速いと,トリックルームとの噛み合いが悪くなり,これより遅いと,雨構築やカプ・レヒレの処理がもたつくので絶妙な数値だったと思います(キリキザン→ミミッキュの順番で攻撃できるのも〇)。これにより,耐久にも努力値を振ることができたので,耐久無振りでは耐えられなかったあらゆる攻撃を耐えて,任された役割を確実に遂行してくれました。
構築経緯の4より,自己暗示ではなく剣の舞を搭載しました。これにより,ガオガエンを始めとした相手の威嚇に対して素早く切り返すことができて良かったです。
また,ミミッキュの攻撃力は高いとは言えなく,剣の舞を使っても影打ちの火力はあまり期待できないので,ダメージ感覚を掴むのに非常に苦労したポケモンでもありました。
カプ・コケコ 性格:臆病
努力値:28-x-4-212-12-252 実数値:149-x-106-142-97-200
高速高火力という強大な圧力でボーマンダやマリルリ,そして自身の積み技やミミッキュのトリックルームを選択するときの隙を埋めてくれる重要な存在です。調整は1月INCで使用して好感触だった配分をそのまま使用しました。瞑想のお蔭で,特殊型の拘りスカーフ持ちの霊獣ランドロスにも対応できたことが非常に大きかったです。
基本選出1
先発
後発
状況に応じて2体
主にメタグロスやリザードン,ガルーラ構築での選出。猫騙しと竜の舞,羽休めでボーマンダを延命させながら,終始暴れさせる戦法です。ボーマンダとマリルリ,カプ・コケコ,ミミッキュといった(威嚇が入ればキリキザンも)単体では防ぐことができても,多数の積み攻撃を止められる構築は,なかなかいないのではないかと考えます。
基本選出2
先発
後発
ボーマンダ+(状況に応じて1体)
主にゲンガー+ガオガエン構築に選出します。あまりにもメタを張りすぎていて,ゲンガー+ガオガエン構築への勝率は驚異の99%を誇ります(こちらのプレイングミスより1敗)。
他の構築に選出する際は,序盤に1体に攻撃を集中して数的有利を取り,後発のポケモンで詰めていく戦法を主に取ります。
基本選出3
先発
カプ・コケコ+キリキザン
後発
ボーマンダ+(状況に応じて1体)
主に相手の構築にカプ・コケコ,カミツルギがいるときに選出します。この選出は,不意打ちとエレキフィールド補正の10万ボルトZを重ねてカプ・コケコを倒すというカプ・コケコ同士の同速に勝つ前提の博打の戦法(通称「ズル」)です。そうしなければならない程,この構築はカプ・コケコが重いです(お前,毎回カプ・コケコが重い構築を使っているな)。
カプ・コケコを綺麗(?)に処理した後は,後発のボーマンダやマリルリ等で上手く詰めていきます。
辛い構築,並び
- サーナイト+モロバレル・・・ダブルダメージ補正のハイパーボイスをメガボーマンダが耐えるのを利用して,強引にボーマンダを通します。
- PJCS2018でじーんさん達が使用していた構築(ガルーラ+霊獣ランドロス+ガオガエン+カミツルギ+カプ・コケコ+カプ・レヒレ)・・・ボーマンダにとって,1回の威嚇なら大したことはないですが,2枚威嚇は流石に間に合わないです。頼みの威嚇カウンターのキリキザンもガルーラの蹴手繰りで縛られており,霊獣ランドロスとガオガエンに強いマリルリもカミツルギやカプ・コケコ,カプ・レヒレが辛いので,毎ターン針の糸を通すようなプレイングをしないと勝てない構築です。
- ツンデツンデ入りのトリックルーム構築・・・キリキザンのアイアンヘッドで怯ませましょう。
- キリキザンの不意打ちとカプ・コケコのエレキフィールド補正の10万ボルトZを耐えるデンキZ持ちのカプ・コケコ・・・無理です。諦めましょう(実際に当たって,マジでキレた)。
成績
- レート1728(32勝13敗)で12位(勝率があまり高くはないため,少し物足りなさは感じている)。
- この構築を第36回がにゅーオフで使用しようと考えていたが,Scarさんと同じ予選ブロックに入ってしまったため,お蔵入り(試合には負けた)。
感想
- 毎ターン相手のプレイングを読んで,積み技と攻撃技を選択していたので,精神的に辛いときもありましたが,単純に楽しい構築でした。
- この経験が,後のPJCS2018や結果が奮いませんでしたがWCS2018に生かされたと思っているので,沢山の人と交流することの大切さを改めて理解することができました。
WCS2018が終わって
ボーマンダ+カプ・コケコ構築で優勝したPaul Ruizさんとベスト4に輝いたベテさんの構築記事を拝見してみたところ,「ボーマンダ+カプ・コケコ構築で戦うには,ガオガエンが絶対に必要である。」ということを知ったので,この構築の結論は,アローラペルシアン→ガオガエンだと思います。
しかし,自分はVGCルールに初めて参入した2015年から毎年のVGCルールの使用率1位のポケモン(2015年:霊獣ランドロス,2016年(禁止伝説の中で):ゼルネアス,2017年:ウインディ,2018年:ガオガエン,2019年(禁止伝説の中で):?)を使用しないという謎の縛りをしているので,ガオガエンを使用することができませんでした。もし,この構築を使いたいという人がいるならば,ガオガエンを使った方が勿論勝てると思います。
> パーティ構築するときに気をつけていることは? https://t.co/rGDnmxXWUF #odaibako
— コウヘイ (@keima1212ab) September 28, 2017
読みが下手かつ同速勝負が嫌いなので、KP上位の使用を出来るだけ避けて人読み行動をしないように気をつけています(17ルールではウィンディを1回も使いませんでした)。
最後に,記事を見て分からないことや疑問に思ったことがあれば,自分のTwitter(@keima1212ab)に気軽にリプを下さい。
ここまで見て下さってありがとうございました。