VGC2018 Report No.1 S2ダブル最終レート2000 「Kangaskhan+Pheromosa」
7世代開幕以降,継続して使い続けていたメガガルーラの構築を取り巻きの移り変わりを記述しながら,インターネット大会「2018 International Challenge January」の過程まで紹介します(この一文から皆さんは既に勘付くとは思われますが,今回の記事は長くなりますので,目次をつけました)。
No.1
- 再び構築にメガガルーラを採用したきっかけ
- 上記の構築を7世代の環境で使用する上での問題点(ガルーラ,ゲンガー,クレセリア)
- 2を踏まえて(S2ダブルレート最終レート2000構築)
No.2
- カプ・テテフとテッカグヤの可能性と最強のヒードランの誕生(第13回南白オフ優勝)
- 狭く深くより広く浅く(取り巻きの試行錯誤)
No.3
- 逆転の発想(S6終了,VGC2018ルールの発表,USM新要素)
- 行動力から得られたもの(Best of 3 Cup Winter,鹿児島忘年会)
- 見落としていた重要な事項(2018 International Challenge January 使用構築)
以上より,この記事は全3部構成の第1部となります。
1.再び構築にメガガルーラを採用したきっかけ
6世代の頃に強い信頼を置いていたVGC2015ルールの構築をベースに7世代の環境に適用するように7世代のポケモンバンク解禁後から考察を開始。
2.上記の構築を7世代の環境で使用する上での問題点
考察段階で障害となる要因が数え切れない程あることを発見した。全て記述するのは,筆者と読者の双方にとって苦痛でしかないので,今回の記事では,これらを3つに絞って記述する。
- 1つ目は,この構築のメインであるメガガルーラの特性親子愛の弱体化による単体性能の低下である。これにより,耐久無振りのメガガルーラやほとんどのヒードランを蹴手繰りで1撃で倒すことができない上に,環境に蔓延する霊獣ランドロスの特性の威嚇,止めを刺すように不意打ちの弱体化により(これは今でもクチートが悪いと思っている),7世代環境のメガガルーラは泣きっ面に蜂状態である。ゆえに,「どうせ1撃で倒せないのなら・・・」という考えから,単体性能を強引に高くするグロウパンチを蹴手繰りの代わりに搭載した。グロウパンチを搭載しているのに捨て身タックルを恩返し(八つ当たり)に変えていない理由は,エルフーン等の1ターンで大きなダメージを与えたいポケモンがいたためである。さらに,6世代の最速ガルーラが弱いと思っている自分が7世代で最速ガルーラを使わないのは自明であること,仮に相手が最速カプ・テテフや霊獣ランドロス意識で最速ガルーラを使用していて,上から殴ってきても上記よりそこまで痛手を負わないことから,性格を意地っ張りで採用し,努力値をASに振り切った。
- 2つ目は,ガルーラの相方役のゲンガーの特性変更による単体性能の低下である。6世代の頃は,こちらがガルーラ+ゲンガーの先発に対し,相手はリザードン+霊獣ランドロスの先発の対面において,特性が浮遊のゲンガーに1ダメージ以上を与えたいため,相手は霊獣ランドロスに99%岩雪崩を選択していた。岩雪崩だとゲンガーはギリギリ2耐えする程のダメージでメガガルーラには軽めのダメージで済んだ。しかし,7世代において同様な対面が起こった場合,ゲンガーの特性が呪われボディのため,相手はガルーラとゲンガーの両者に入る最大ダメージである地震を99%選択するのは至極当然のことである。となると,ゲンガーの残りHPは気合いの襷により1になり,メガガルーラには耐久無振りであることからHPの半分以上のダメージが入る。仮に,呪われボディが霊獣ランドロスに対して発動しても,次のターンの悪足掻きによる確率50%のおみくじが始まったり,一度引かれて再度繰り出された時にタイプ相性1/4の蜻蛉帰りですら縛られてしまうので,6世代と7世代で相性が逆転したのがこの構築の大きな課題となった。そこで,カプ・レヒレの特性のミストフィールドや上述のメガガルーラの弱体化に甘んじて,鬼火の代わりに凍える風を搭載したことで,一時的に相性を5分にする措置を取った。また,副産物としてメガガルーラがカプ・コケコや拘りスカーフ持ちのカプ・テテフや霊獣ランドロス等の上を取ることができたり,6世代の頃,ガルーラ+ゲンガーの前で猫騙し+凍える風をガン無視で1ターン目動いてきたメガボーマンダが憎かったので,分からせられたりしたのは良かった。
- 3つ目は,クレセリアの相対的な単体性能の低下である(コイツさっきから単体性能しか言ってないな)。6世代の頃は,メガガルーラ環境であったため,火力に努力値を振らなくてもゴツゴツメットやスキルスワップで実質的な攻撃参戦が可能であった。しかし,メガガルーラの弱体化による個体数の減少で,ゴツゴツメットを持たせる意味がほぼなくなり,リザードンやバンギラスといったメガガルーラに縛られやすかったポケモンや,カビゴンやウルガモスといった積み展開を通すポケモンが7世代から登場したカプ系やウルトラビースト(UB),ミミッキュ,ガオガエン(初期環境にはいなかったが・・・)等に加えて環境に増え始めたことで,置物になりやすくなり,サポートでありながら隣のポケモンに大きな負担をかけるのではないかという考えがあった。加えて,Z技の登場により,6世代まで辛うじて耐えてきた攻撃(サザンドラの悪の波動やギルガルドのシャドーボール,バンギラスの噛み砕く等)をZ技で強化することで1度も行動できずに簡単に屈してしまうようになった。なので,その対抗策にクレセリアに守るを搭載するプレイヤーが出てきたが,個人的に守るを搭載しなければ戦っていけない環境に高耐久のサポートポケモンが追い詰められているということは,そのポケモンの汎用性が陥落したと評価していており,わざわざ使用する必要はないと考え,一度,クレセリアのサポートに依存する考えから足を洗った。今でも,特殊アタッカーと殴り合える瞑想型は除いて,7世代のクレセリア=弱いという方程式が頭の中にある。
3.2を踏まえて
まず,本当は2で記述するべきことを簡単に記述。
- VGC2015ルールの構築は,環境終盤に爆発的に増加した神秘の守り搭載のミロカロスが重いバンギラス+ドリュウズ+ボーマンダ構築を切っていた。しかし,ミロカロスはクレセリアと同様にカプ系やUB,Z技に不利を取るため,ミロカロスの個体数の減少により,相対的にバンギラス+ドリュウズ+ボーマンダ構築が増えると考え,その対抗策としてCHALK系統やラッキー等に有利を取れるカクトウZ持ちのフェローチェを採用した。
2と以上の3点を加えて,S2ダブルレートで最終レート2000を達成した構築は以下の通りです。
ゲンガー@気合の襷 性格:臆病 特性:呪われボディ
努力値:0-x-4-252-0-252 実数値:135-x-81-182-95-178
技構成については,上記の通りです。S2当時はクチートナイトがなかったり,カプ・テテフやリザードンの影響でハッサムやキリキザン,ナットレイにあまりマッチングしなかったので,鬼火を搭載せずとも上手い具合に勝てました。ルールに救われたと言っても過言ではないと思います。
ガルーラ@ガルーラナイト 性格:意地っ張り 特性:肝っ玉→親子愛
努力値:4-252-0-x-0-252 実数値:181-161-100-x-100-142→181-194-120-x-120-152
配分,技構成については,上記の通りです。S2当時は耐久振りガルーラ(振ってもメガ後最速70族抜きくらい)がほとんどだったため,ミラー対面で上から意地っ張りの火力の捨て身タックルを押し付けることができ,序盤から優位に立つことができました。実際に味方にグロウパンチを打つ場面が発生して,VGC2015ルールの恐ろしさを改めて実感することができましたね。
トリトドン@オボンの実 性格:控え目 特性:呼び水
努力値:252-x-148-0-108-0 実数値:218-x-107-121-116-59
技:大地の力 冷凍ビーム 自己再生 守る
VGC2015ルールに引き続き,雨構築や水技のストッパーとして考えていました。しかし,上記からルンパッパに対して不安定になったことやZ技の影響で本来有利であるランドロスやヒードラン(S2当時はクサZ持ちはいませんでしたが)と対面した時に強気に動けなくなったことや特性の呼び水でカプ・レヒレのメイン技である濁流から味方を守れないことの3点から7世代のトリトドンに対して不信感を抱くようになりました。また,この配分では大地の力で耐久無振りのカプ・コケコですら確定で落とせないので,今ですらギリギリの耐久なのに少し削る必要がということも要因の一つです。
トゲキッス@ウイの実 性格:穏やか 特性:天の恵み
努力値:236-x-52-4-116-100 実数値:190-x-122-141-165-113
技:エアスラッシュ 追い風 この指止まれ アンコール(毒々)
クレセリアが構築から抜けたことにより,不安定なゲンガーのみにS操作を託す勇気はその当時はなかったため,第2のS操作要員として採用しました(VGC2015ルールで拘り眼鏡を持たせていたので,その偽装を図りましたが,自分のブログそこまで影響力ないでしょ・・・)。配分は,命の球持ちC147カプ・コケコのエレキフィールド補正10万ボルトとA233カミツルギのスマートホーンを共に15/16で耐えて(確か),S-1のウツロイドや追い風後の拘りスカーフ持ち控え目サザンドラ抜きです。
技構成のアンコールについては,相手の補助技を固定させている隙にこちらのガルーラのグロウパンチを積んでいき逆に起点にする動きをよく行っていました。相手のグロウパンチ搭載のガルーラに対しても不意打ちや守る等の不毛な択を発生させずに安定行動で処理することができました。
また,毒々については,瞑想型のクレセリアや鈍いカビゴン等の超高耐久の時間のかかる積みポケモンに刺す技です。どちらの技にも一長一短があるので,構築のコンセプトをより貫くことができる方を選択したいところです。
ヒードラン@食べ残し 性格:控え目 特性:貰い火
努力値:204-x-0-236-0-68 実数値:192-x-126-198-126-106
技:熱風 大地の力 身代わり 守る
VGC2015ルールに引き続き,食べ残し持ちでの採用です。7世代ではランドロスのジメンZや不意のカクトウZ,カプ・ブルルの特性のグラスフィールド等でシュカの実に対して不信感を抱くようになった方は6世代と比べて多くなったと思います。
流石に,ゲンガーのトリックルームに依存するのは危険だと考えたため,凍える風や追い風に合わせた配分を施しました(無振りS85族抜き,S-1の最速S92族抜き,追い風後に拘りスカーフ持ちの最速カプ・ブルル抜きです)。
VGC2015ルールの構築は,クレセリアのスキルスワップやリンドの実持ちトリトドン,鬼火搭載ゲンガーといった周りでヒードランをガッツリ囲んでいたため,ヒードランの身代わりが残りやすかったですが,それらの技や持ち物,ポケモン自体が構築から抜けたことや不安定なS実数値であることから,ヒードランの単体性能を高めなければ,7世代の環境には生き残っていけないと考え始めました。
フェローチェ@カクトウZ 性格:無邪気 特性:ビーストブースト
努力値:4-252-0-0-0-252 実数値:147-189-57-157-51-223
技:飛び膝蹴り 蜻蛉帰り(毒突き) 冷凍ビーム 守る
申し訳程度の7世代要素(このままだと7世代要素が弱体化のみになるところだった)。 VGC2015ルールの構築では,フェローチェとほぼ同様の理由で一時期ゲッコウガを採用していましたが,攻撃力と素早さ共にゲッコウガの上位互換と言っても過言ではないでしょう(どのみち低耐久に変わりはないため,耐久が下がった点に関しては問題ないです)。
自身の能力のみで拘りスカーフ持ちの性格が意地っ張りのランドロスや性格が控え目のカプ・テテフの上を取ることができるのが非常に偉いと思いました。ビーストブーストのS上昇はシングルやVGC2017ルールではもったいなく感じてしまいますが,全国ダブルでは,S+1で追い風状態の最速100族と同速になるため,特性が砂かきのドリュウズを最速でさえも簡単に抜き去ることができるバケモノが爆誕します。
技構成の蜻蛉帰りと毒突きについては,フェローチェの圧力を終始保ちたいのなら前者,カプ系に打点を持ちたいのなら後者で正直どちらでもよいと思います。
基本選出1
先発
ガルーラ ゲンガー
後発
相手の構築に応じて2体
ガルーラとゲンガーのどちらもエースとサポートの役割を持っているので,非常に汎用性の高い選出です。
基本選出2
先発
ガルーラ トゲキッス
後発
ヒードラン+@
ガルーラの攻撃を強引に通していく選出。トゲキッスの優秀な補助技で相手の甘えた行動を許さないことが強いです。
基本選出3
先発
ガルーラ フェローチェ
後発
トリトドン+@
バンギラス+ドリュウズ+ボーマンダ構築やガルーラスタン(再戦が多め)に対しての選出。フェローチェの縛り性能の高さのお蔭でガルーラのグロウパンチが選択しやすいです。
成績
メインロム 57勝9敗でレート2000到達
サブロム 最終レート2000
全国ダブル2000乗りました!!!
— コウヘイ (@keima1212ab) February 24, 2017
(画質が汚くてすみません・・・)
使用構築は、強過ぎるので非公開ですw pic.twitter.com/kJQsxvSQxL
感想
- 57勝9敗でレート2000に到達できましたが,今考えてみると,S2当時はVGC2017ルール真っ只中のため,そこまで誇れる結果ではなかったと思います(でも,そんなに実績がないためtwitterのプロフィールには堂々と記していた)。
- S2終盤でよくマッチングしたガルーラ+サンダーや拘りスカーフ持ちのカプ・テテフ+メタグロス,旧ジロウ雨(ペリッパー,キングドラ,ルンパッパ,ナットレイ,ボーマンダ,カプ・ブルル)の並びに結構苦しめられましたので,S3以降の課題となりました。
第1部はここまでとなります。よろしければ,第2部もご覧下さい。
最後に,記事を見て分からないことや疑問に思ったことがあれば,自分のTwitter(@keima1212ab)に気軽にリプを下さい。
ここまで見て下さってありがとうございました。